今回は、建築学科に入って初めて設計課題をするという方や設計課題で困っている方に向けて、設計課題の進め方を書いていこうと思います。
この記事を読んで分かること
- 設計課題の進め方
- 設計課題をする際の注意点
私も初めて設計課題をした時は、何から手を付ければいいのか分からず苦労していました。
過去の自分のように「悩める建築学生」が、設計課題をスムーズに進められるように順を追って説明していきますので、よろしくお願いします!
下記は設計課題を進める際の流れとなっています。
まずは、設計条件を確認する(重要)
→ 敷地調査
→ 類似用途建築の事例収集
→ 実建築物を見る
→ 設計着手
→ 図面、模型考える⇔エスキス(自分の設計を先生などに見せてフィードバックをもらうこと)これらを繰り返す
→ 完成、提出
なんとなく設計課題の進め方の概要について分かったかなと思うので、それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
設計課題の進め方(手順)
ここでは、設計課題の進め方を順を追って説明していきます。
下記の通り、進めていきます。
- 設計条件の確認
- 敷地調査
- 事例収集
- 実際に建物を見る
- 設計課題着手
- エスキス
- 完成、提出
設計条件を確認する
設計条件の確認とは、課題の条件として「用途、敷地、延べ床面積、建築面積、構造など」が設定されているので、これらを確認することになります。
下記のように、設計条件は設定されていきます。
与条件の例
・敷地(図面で渡されるはず)
- 南北5間×東西6間(30坪)の短形平地
- 前面道路(幅員5m)とは北側で接し、敷地との高低差はない
- 東、南、西はそれぞれ隣接の宅地(都市部の住宅地)
- 第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)
・床面積
- ・・・
- ・・・
設計条件を確認する理由としては、これらの条件を無視すると最低の評価もしくは評価がつかないという事になりかねないからです。
実際に考えてみると当たり前だよなと理解できます。
[例えば、施主(発注者)が2階建ての木造住宅を依頼しているのに、それを無視して平屋(1階建て)の鉄骨造を設計したらまずいですよね。]
上記の例と一緒で、学生であろうと設計条件は無視できないということです。
最初に設計条件を確認するのは、自分で考えた設計イメージが条件と違うという悲惨な状況にならないためです。
設計課題を進めていく途中でも、設計条件は何回も確認しておきましょう。
敷地調査
設計条件の確認を行ったら、敷地調査を行います。
敷地調査とは、対象敷地に行って、設計課題に必要となる情報をメモすることです。
設計課題に必要となる情報とは何かというと、「敷地と周囲の関わり合い」のことです。
周囲との関わり合いの例
- 人通りは多いか(活気づいているか)
- どのような人が多いか(子供、大人、老人、サラリーマン、、)
- 周辺の建物はどんな構造か(高い、低い、木造、、)
- 接する道は安全か(建物のせいで暗くなっていないか)
- 自然は多いか(無ければ取り入れてみたり)
敷地調査をする意味は、新たに生み出す建築物が周辺環境と喧嘩にならないようにするためとも言えるのです。
人々の生活の場をイメージすれば、上記の例以外でも考慮すべき点が色々と見えてくるはずです。
そして、その地域ならではの特徴が必ずありますので、メモを忘れないようにしてください。
合わせて:【設計課題】敷地調査の方法
事例収集
事例収集とは、設計課題で出されている設計条件の用途と同じ用途の既存建築物を調べることです。
例えば、設計条件の用途が図書館なら図書館建築について調べることです。
事例収集を行う理由は、設計課題の建物用途に必要な機能を把握するためです。
図書館を例とすると、「本棚と本棚の間はどれくらいが適切なのか」ということが事例収集により分かります。
調べる方法としては、以下の方法があります。
- 本
- 新建築などの建築雑誌
- インターネット
大学の図書館で多くの書物があると思うので、図書館の利用をオススメします。
現在オンライン授業となっていますが、オンラインでも貸出可能という大学もあるので各大学のホームページ等で調べてみて下さい。
実際に建物を見る
事例を収集したら、集めた資料に関連する建築物を実際に見に行きます。
資料から得た情報と自分の目で見て感じた情報の差を感じましょう。
図書館建築を例とすると、「事例収集の時は本棚と本棚の間はこれくらいだったけど、実際はこのくらいあった方が良いな」といったことが自分の感覚で分かります。
課題となっている建物用途によっては実際に入ることができない場合がありますので、その際は外から見てスケールや雰囲気を感じ取ってください。
※写真を撮るときは注意が必要です。
周りに迷惑にならないようにし、許可が必要な場合は許可を得てから写真を撮りましょう。
ビルなどの建築物の場合、警備員の方が何をしているのか聞きに来る可能性があります。
その時は、大学の課題で見学していますと丁寧に説明してください。
設計着手
ここまでで、課題となっている建物について必要な機能であったり、求められる空間をイメージしてきたと思います。
そうしたら、各々のやり方で、設計にアプローチしていきます。
どのようにアプローチするかは、人それぞれやりやすい方法で進めていきます。
- 最初に完成形のイメージを絵で描く人
- 最初から模型で形を作っていく人
- 図面から描いていき、模型でイメージする人
というように様々な人たちがいます。
そんなこと言われても、どうやって進めていいか分からないという方が多いと思います。
そんな人は、機能を満たすことから始めるのがおすすめです。
設計条件や必要な機能を、自分なりに最適な配置をして、そこから改善を繰り返すという方法です。
図面でなんとなく描けたら、模型を作ってイメージしていきます。
模型を作るのは、平面情報のみならず立体として捉えるためです。
エスキス
設計課題を出されたら、エスキスというものを毎週します。
エスキスを簡単に言うと、自分の設計を他人に見てもらいフィードバックをもらいつつ議論することだと理解していただければ大丈夫です。
担当の先生に今週の進捗として自分の設計を見せて、意見を貰います。
毎週エスキスを繰り返すことにより、自分の設計をブラッシュアップしていきます。
このエスキスを有効に活用するためには、自分の設計を把握することが重要です。
- 今回の案は、前回の案と比べて何が違うのか明確にする。
- 当初のコンセプトがある場合はコンセプトとのずれはあるか
- 設計の意味を言えるようにする
といったことがしっかりと頭に入っている事でエスキスは機能します。
完成前のチェックポイント
提出する前に確認しておいた方がいいことを簡単にまとめます。
- 提出する図面の種類が満たせているか
- 図面にミスはないか
- 模型にミスはないか
まずは、図面がしっかり揃っているかを確認します。立面図がないとか断面図がないとか初歩的なミスがないようにします。
図面が揃っていることを確認したら、記載ミスや抜けているところがないように入念にチェックしましょう。
加えて、図面・模型をチェックして整合性を確認します。図面と模型で違っている箇所が無いようにしましょう。
設計課題で用意するもの
設計課題で用意するものについて書いていきます。
- 製図道具(製図用ペン、三角スケール、三角定規、、、など)
- トレーシングペーパー
- 模型道具(カッター、スチレンのり、金尺、スコヤ、、、など)
- 模型材料
- コンパクト建築設計資料集成
- これまでに調査したものや事例
トレーシングペーパーはすぐ無くなるのでロールタイプのものがいいです。
模型材料に関しては、最初はスチレンボードの1mm、3mm、5mmがあれば大丈夫だと思います。必要なものが分かってから、買い足しましょう。
コンパクト建築設計資料集成は、無くてもできないことはないのですが、基本的な寸法情報などが書いてあるので持っていると便利です。
設計課題を進める上での注意点
設計課題をしていると夢中になってしまうことがあり注意が必要です。
具体的には、健康と他の科目の勉強がおろそかになってしまうという事です。
健康に気を付けて
大学の課題以外にも、アルバイトに行ったり友達と遊んだりして予定が入ると思います。
予定を詰めすぎると、そのしわ寄せとして課題に使う時間が無くなり、課題を徹夜して終わらすということが往々にして起こり得ます。
睡眠不足が原因でパフォーマンスの低下を引き起こし、パフォーマンスの低下により徹夜をするという負の連鎖が起こります。
また、偏った栄養バランスにならないように食生活に気を付けましょう。
そんな時間をかけられないという方には、手軽に栄養が確保できるサプリやプロテインなどをおすすめします。
他教科の勉強もしっかり
設計課題をしていると、他の科目のことはそっちのけになってしまう人がいます。
私も設計課題が忙しくなると、他の科目の勉強より設計を優先してしまうことがありました。
幸い私の場合は、単位を落とすことはありませんでしたが、こんな生活をしていると余裕で単位を落とします。
ちゃんと卒業できるように、計画的に他教科の勉強もしましょう。
おそらく身の回りに、このような人が出てきますが流されないように注意です!
最後に
今回は設計課題の進め方について説明してきました。
最後にもう一度流れをおさらいしましょう。
- 設計条件を確認
- 敷地調査
- 事例収集
- 実建築物を見る
- 設計着手
- エスキス
- 完成、提出
最初のうちは慣れないことが多く手が止まってしまうかもしれませんが、だれでも最初はそんなものです。
気負わず、体調を崩さないようにいきましょう。
今回の内容が参考になっていれば嬉しい限りです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
他にも建築学生に関する情報を書いていますので、気になるものがあればぜひ見ていってください!
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